2012年3月27日火曜日

三国志の人物には字がついていますが 字を付ける文化はいつの時代からあったのです...

三国志の人物には字がついていますが

字を付ける文化はいつの時代からあったのですか?また字をつける文化はいまでもあるのですか







礼記(らいき)は、周から漢にかけて、

儒学者がまとめた礼に関する書物を、

戴聖が編纂したものですが、

この中に、

【字(あざな)】は、

成人になったらつけられるという規定があります。

春秋戦国時代の人物にも字(あざな)は見受けられますので、

周前期(紀元前1000年頃)には、その風習があったものと思われます。



現在では「字」を付ける習慣は無いそうです。



『禮記.曲禮上』



「男子二十冠而字」「女子十五笄而字」

つまり男子は二十で加冠して字をもらい、

女子は十五で加笄して字をもらうということです。



加冠は、日本で言う烏帽子、

加笄とは日本で言う髪結いの儀式です。

成人式ですね。

これより男は髻を結って冠をつけ、

女は髪を結って簪を挿すことになります。



字は通常、家長ないし族長、

または地元の名士が烏帽子親みたいに付けたといいますが、

劉備や諸葛亮などは、付けてくれる適当な人物がいなかったからか、

自分で付けたという話を聞いたことがあります。



古代の字のつけ方には、数種類のパターンがあります。

一応の決まりがあるといわれます。



①同義反復:名と字の漢字が同じ意味をもつパターン。



例えば孔子の弟子の宰予は、字を子我。「予」と「我」は同義です。

諸葛亮は諸葛「亮」字「孔明」。

「亮」も「明」もともに「明るい」という同義です。



②反義相対:名と字が正反対の意味(対になる)パターン



例えば、晋大夫の趙衰(減少の意味)は字子余(増多の意味)、

唐の王績は字無功。

三国では、呂蒙が字子明。蒙は暗いという意味です。



③連義推想:名と字の一字がいわゆる連想語となっているパターン



例えば、趙雲は字子龍。「雲」と「龍」です。

水滸伝の公孫勝の二つ名は「入雲竜」。

龍は空を飛び、空には雲があります。

関羽は字雲長。「羽」と「雲」ですね。



張飛は正史では益徳ですが、

演義で翼徳になってる理由も伺えます。

「飛」と「翼」の方がしっくりします。



④書物の一節から:老子などの有名な書物から抜き出すパターン。



有名どころで言えば、劉備がいます。

劉備の字は「玄徳」。

これは一説によると、『老子』からとったのではないか、ということです。



『老子』

生じて而も有せず、為して而も恃まず、

長じて而も宰さず、是を玄徳と謂う。



また、『朱子語類』を読んでいくと、

「玄」は「真」であるという一文があります。

ちょっと飛躍して考えてみると、

「玄徳」=「真徳」。(天子になるべき)真の徳を持ってるのは自分だぞ、と、

暗に示してたのなら、

劉備の聖人君子的な面以外の裏の顔が覗けますね。



例で言えば曹操もまたこのパターンになるようです。



『荀子.勧学篇』

生くるも是に由り、死するも是に由る。夫れ是を之、徳操と謂う。



曹操の場合は名の「操」に合わせて

孟「徳」とつけたこの説が有力ですね。



あと諸葛亮も、このパターンにも含まれます。



『説文解字』

亮,明也。段注:“古人名亮者字明。”



「亮、明なり(段注:古人の名亮は字明)」ここからとって、

ついでに頭に「孔(おおいに)」をつけて、

「諸葛亮、孔明」となったわけです。

また、古に名が「亮」で字が「明」であった人物がいるとも記されています。

諸葛亮のことなのでしょうか。



同じく『説文解字』に、

瑾瑜,美玉也。というのもあります。

「瑾瑜は美玉である」。

この二文字を使っているのが、周瑜、字公瑾です。

この逆のパターンが、

呉の文官諸葛亮の兄の諸葛瑾、字子瑜です。



⑤排行

排行とは、同氏族内で同世代には共通する一字をつける、

などの法則のことです。



1)兄弟の順序をあらわす漢字を頭に、兄弟で同じ漢字をつける。

有名な「伯仲叔季」です。「孟仲叔季」の場合もあります。

日本で言う所の太郎次郎三郎です。

司馬懿の兄弟・「司馬八達」は、

上から順に

伯達(朗)、仲達(懿)、叔達(孚)、季達(馗)、

顕達(恂)、恵達(進)、雅達(通)、幼達(敏)



2)兄弟の順序をあらわす漢字を頭に、兄弟で違う漢字をつける。

「伯仲叔季」の法則を用いながらも、

下の漢字は名優先にして、兄弟で違うタイプです。

有名なのは呉の孫堅の息子です。



伯符(策)、仲謀(権)



ここでは同義反復を用いています。



【策】竹簡をひとまとめにしたもの(冊書)。文書。天子の命令「政―」。

【符】竹などでつくり、文字を刻んで二つに割り、

証拠としてもつもの「割―」、天子の勅命「―命」

【権】ハカる。計画を立てる。

【謀】はかりごと。



策も符も竹製の書くものですし、

謀と権は権謀という単語があるくらいです。



3)兄弟で共通の字を頭に、下は違う漢字をつける。

袁紹の子どもは頭に皆「顕」がついてます。

曹操の子どもも全員「子」がついてます。



「庶の長は孟と称す」とも言われます。

ここから鑑みれば、

曹操は実際正妻の子ではなく妾の長子、

と読み取ることもできます。

ただしこれは可能性があるというぐらいで、

受け取ってください。

曹操ファン倶楽部に殺されます。

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